初めて自分で買う紬のきもの。帯、帯〆、帯あげまでそろえて予算の目安とお薦めの色柄を教えてください。一般的に先染めの紬糸で模様を織り出した絹織物を紬といいます。種類も様々で、価格帯も幅広いので、実際に購入する前に、普段からつむぎの名称や、価格をチェックして下見をしておくことが必要です。購入するときは信頼できるお店に相談します。まず自分が紬を着てどこへ行きたいのかを考えます。カジュアルとはいえ、よそゆき感覚で着たいのか、街着なのかで選ぶタイプも違ってきます。初めて紬を求めるときは、予算のことも考えて、日常に着るタイプが良いでしょう。細縞や小格子の柄は、紐柄の紬よりも安価な場合が多く、汚れが目立たない濃い色で、シックな色を選べば、洋服感覚で装えるので初心者にはお薦めです。
紡ぎに合う帯や小物のコーディネートを教えてください初めての紬スタイルならば、街着としての軽快でカジュアルな装いを楽しみたいものです。最近は、洋服の色で親しんでいる黒や茶系のシックな色が好まれる傾向が定着してきました。シックな色の紬には、帯にきれいな色を選んで若々しさをプラスすることをお薦めします。紬糸が織り出すふっくらとした地風のきものに似合うカジュアルなタイプのものを、軽い袋帯、織りなごや、染めなごや､袋なごやの帯から選びましょう。金銀系を多用したものは合いません。帯〆や帯あげも金糸を用いないタイプであれば、自由に選んでかまわないでしょう。
憧れの結城紬や大島紬に挑戦したい。けれど実は、どんなこものなのかよくわかりません。それぞれの特徴やお薦めの色柄を知りたいのですが。きもの好きな女性から、結城紬と大島紬への憧れを耳にした初心者は多いことでしょう。国の重要無形文化財にも認定されている本日結城紬は、栃木県と茨城県結城地方で作られている紬です。真綿から根気強く指で紡いだ細い糸で、居座り機で織ります。柄を作る絣括りなど多くの工程をすべて手仕事で仕上げる、大変に手間の掛かったきもので、きもの好き垂涎の的です。高機( たかはた)で織った普及版もあります。鹿児島県で作られている本場大島紬は国の伝統的工芸品で、現在では紬糸ではなく絹練撚糸を用いています。泥染めによる黒褐色の色が基本で、光沢のある生地の張り感と軽さが魅力で人気です。織りの双璧として称されることの多い結城紬と大島紬ですが、価格の設定には差があります。どちらも細かい絣柄のものは高額になるので､縞や格子、無地りものなどが初心者に向いています
結城紬と大島紬の帯の合わせ方を教えてください。最近では織りのきものも社交着として華やかな場面に着られる方も増えました。着なれた方であれば、絵羽模様の大島紬に金糸を織り込んだ軽めの袋帯を合わせたりするのもよいですが、20 代半ばからの初心者には背伸びをした着こなしに映るおそれが。価格的に頑張ったものであっても、あくまでもカジュアルなおしゃれを楽しむきものと考えたほうが無難です。地風の特徴が正反対ですので、それぞれの持ち味を生かした帯び合わせを工夫して。他の紬よりは上等の帯があわせられると考えてよく、多少の金銀糸を用いた軽めの袋帯、染めななごや帯なら塩瀬地やちりめん地、重過ぎない織りなごや帯などが向きます。帯〆や帯あげも同様に考えて品の良いカジュアルな着こなしを。
紬だから楽しめる、小物類はありますか。自由におしゃれを楽しめるのが紬ですから、自分のセンスを生かした小物選びをしましょう。ぞうりはエナメル製、畳表などお好みで。かかとの高さは以前は低めといわれていましたが、現在は自分の体格に合わせて高めでもよいでしょう。バッグは、皮革製もよく、実用性を重視して。自由に選べるので、センスの見せ所です。ただし、パーティなどに持つ。金銀を多用した豪華なタイプは向きません。指輪も好みのタイプでよいのですが、きものとマッチするかを吟味して。紬ならピアスも楽しめます。
織りのきものは裾廻しに凝るのがおしゃれと聞きました。色合わせのコツを教えてください。共裾がつく訪問着と違って、紬は表地のみで販売されていますから、裾廻しを選ぶ必要があります。裾回しはたとえ裏地といえども、袖口、裾などからちらりとのぞきますし、表時の縁取りともなる部分は、少ないながら、着姿の印象に影響を与える重要な存在です。きもの全体をひと色にまとめるとコーディネートがしやすいため、最近は表地と同色の濃淡をつける方が多いようです。それはそれでよいのですが、色合わせこそがきもののおしゃれの醍醐味と知ると、物足りなくなってくるのではないでしょうか。配色の考え方としては、きものの地色に合わせるか、きものの柄から色を引くかのどちらかが一般的で間違いがありません。けれどきものにない色でも配色がよければ、それこそおしゃれに見えるものなのです。薄い色の方が合わせやすいのですが、汚れやすいという欠点があります。少し濃いめを選ぶほうが実用的でしょう。